取扱業務

相続・遺言

遺産分割・相続

遺産分割協議の手順
遺産(相続財産)の範囲の確定

遺産分割協議においては、まず相続財産の範囲を特定することになります。相続財産とは、亡くなられた親族が死亡時に有していた全ての財産(資産、負債)を指し、形式的な名義ではなく、その実質により判断します。死亡後に発生した財産(アパートの賃料など)は、原則として、遺産分割の対象となりません。この相続財産の範囲に争いがある場合には、遺産確認の訴えを地方裁判所に提起することができます。

特別受益

次に、相続人の中に、亡くなりになられた親族から生前に贈与などを受けていた方がいる場合には「特別受益」と認定され、遺産分割にあたっては、一度贈与された財産を持ち戻さなくてはならない場合があります。

寄与分

また、相続人の中に、亡くなられた親族のお世話をするなどして相続財産を維持ないしは増えたことに特別の寄与をした方がいる場合、「寄与分」の主張をすることができます。「寄与分」と認定された場合には、その貢献度に応じて、他の相続人よりも多くの財産を取得することが可能となります。なお、同居の親族には、法律上扶助義務が認められることから(民法730条)、「寄与分」を認定してもらうためには、かかる扶助義務を超えて、特別の寄与をしたことを立証する必要があります。この立証には困難を伴うことが多く、寄与分の主張を希望される方は、その裏付けとなる客観的な資料を収集されることをお勧めします。

以上のような過程を経て、相続財産の総体を把握し、個別事情を加味して、その分割方法を検討することになります。

遺言

遺言書の種類

遺言書には、「普通方式」(民法967条)と「特別方式」(民法967条~983条)があり、一般的には「普通方式」による遺言書を作成することが多いといえます。
「普通方式」の遺言には、(1)自筆証書遺言、(2)公正証書遺言、(3)秘密証書遺言の3種類があります。

  • (1)自筆証書遺言(民法968条)とは、遺言者が全文を自分で書いた遺言です。全文を自分で書くことから、次の条件を満たす必要があります。
    すなわち、(ア)遺言者が「全文」を自筆で記載すること、(イ)作成年月日を正確に記載すること、(ウ)遺言者本人が署名押印することが必要です。これらの条件を欠く自筆証書遺言は、無効となる可能性があります。
    自筆証書遺言の保管者、またはこれを発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく家庭裁判所に提出して「検認」を請求しなければなりません。また、封印されている遺言書は、家庭裁判所で相続人などの立ち会いのもとで開封しなければなりません(民法1004条)
  • (2)公正証書遺言(民法969条)とは、公証役場で公証人に作成してもらう遺言です。公正証書遺言では、作成する方式が法律上定まっています。
    すなわち、(ア)2人以上の証人の立会いが必要、(イ)遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授する、(ウ)公証人が遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、または閲覧させる、(エ)遺言者及び証人が筆記の内容を承認した後、各自がこれに署名し、押印する、⑤公証人が方式に従って作成したことを付記して署名・押印します。
    公正証書遺言は、原本・正本(必要があれば謄本も作成可)を作成し、原本は公証役場で20年間もしくは遺言者が100歳を迎えるまで保管されます。正本及び謄本は遺言者に渡され、遺言者ないし遺言執行者が保管します。再交付の請求も可能です。
    原則として、公証役場に出向いて作成しますが、公証人が遺言者の自宅や病院などに赴いて作成することも可能です。
    公正証書遺言では、公証役場に納める作成手数料が必要となります。具体的な金額は各公証役場に問い合わせてください。

  • (3)秘密証書遺言(民法970条)とは、遺言者が作成した遺言書に封をして、その封書を公証人と証人に提出して作成する遺言書です。
    遺言書は自分で署名押印すれば、本文自体はパソコンを使ったり代筆してもらうことも可能ですが、自筆証書遺言としての効力が生じることから自筆で作成した方がいいでしょう。
    遺言書を封筒に入れ、遺言書で使用した印鑑で封印をします。開封には、家庭裁判所の検認手続(民法1004条)を経る必要があります。遺言者は、公証人と証人2人以上に封印された遺言書を提出し、自己の遺言書であること及び住所・氏名を述べます。公証人は、提出日付と遺言者が述べたことを封紙に記載し、遺言者及び証人とともに署名・押印します。
遺言書の検認

親族が亡くなりになられたときに、まず初めに確認しなければならないのが、遺言書の存在です。これにより、今後の遺産分割手続がどのように進んでいくか、大きく分かれることになります。
公正証書以外の方式で、封印された遺言書が発見された場合、それを直ちに開封してはいけません。家庭裁判所に「検認」という手続を申し立て、裁判官の面前で遺言書を開封する必要があります(民法1004条)

遺言書が存在する場合

遺言書が存在する場合、故人の遺志を尊重し、遺言書の記載に従った遺産分割手続を行うことになります。もっとも、遺言書の効力に疑問がある場合には、遺言無効確認の訴えを提起し、その効力を法的に検証するという手続も用意されています。
また、遺言書の記載が相続人の最低限の取り分(遺留分)を侵害する場合、後述の通り、その相続人は遺留分減殺請求をすることが可能です。

遺言書が存在しない場合

相続人は、法定相続分に従い、自らの取り分を主張することができますが、その分割方法がまとまらなければ、遺産分割調停を家庭裁判所に申し立てることになります。遺産分割調停においては、調停委員を交えて、遺産分割の方法を協議することになりますが、協議が調わない場合には、審判手続に移行し、裁判官が分割方法を決定することになります。審判に不服がある場合には、即時抗告を行うことになります。

遺留分・遺留分減殺請求

各相続人(兄弟姉妹を除く)には、法律上、最低限の取り分が保障されており、これを「遺留分」といいます。最低限の取り分は、民法1028条に規定されており、妻と子供2人が相続人の場合には、法定相続分の半分、すなわち妻は4分の1(法定相続分2分の1の半分)、子供はそれぞれ8分の1(法定相続分4分の1の半分)が最低限の取り分として保障されています。
したがって、遺言書などにおいて最低限の取り分さえ認められない場合には、その相続人は余分に貰いすぎた相続人に対し、遺留分減殺請求を行うことができます。遺留分減殺請求は、原則として、親族が亡くなり遺留分が侵害されていると知ったときから1年以内に行使する必要がありますので、遺留分侵害のおそれがある場合には、とりあえず減殺請求をしておくことをお勧めします。その場合には、請求の有無を明確にするために、内容証明郵便で通知する方が安心です。なお、遺留分減殺請求権は、相続開始後10年が経った場合にも消滅します。
そして、相手方が任意の話し合いに応じない場合には、家庭裁判所において調停を申し立て、あるいは地方裁判所に対し、遺留分減殺請求の訴訟を提起し、自らの取り分の保全することが必要となります。

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