建築紛争
あこがれのマイホームを建てたが雨漏りが酷い、床が傾いている、窓が開かない、などなど。そのような時に設計・施工監理をした会社や建築をした会社に対し、法的責任を追及していくのが建築裁判です。
東京地裁においては、民事第22部が建築専門部に指定され、一級建築士などの専門家を交えた集中審理が行われています。
請負契約内容の確定
まず、建築訴訟に臨むにあたり、一番肝要なのが請負契約の内容を特定することです。業者によっては、注文者・施主側の主張に対し、「そのような工事は請け負っていない。」、「それは別途追加工事だ。」と反論してくることが多いのが現状です。そのため、まず、契約書・見積書・図面・打ち合わせメモ等により、契約内容を特定することが重要になります。見積書に記載のない工事については、打ち合わせメモに建築会社担当者のサインをもらうなどして、証拠化することをお勧めします。
瑕疵の主張
契約内容に沿った施工が為されていない場合、それは瑕疵(かし)として、建築会社等に対し、補修工事や損害賠償を請求することになります。
瑕疵とは、通常有すべき性質・性能が欠如している場合や契約上予定した性質・性能を欠いている場合をいいます。瑕疵を分析する場合には、その現象(欠陥現象)とその原因(欠陥原因)を究明することになります。もっとも、瑕疵の立証責任は注文者・施主側にあるので、写真や打ち合わせメモなどにより、その証拠を保全しておくことが必要です。証拠を保全するにあたり、一級建築士等に調査を依頼し、調査報告書を作成してもらう方法もあります。
東京地裁民事第22部では、エクセルシートを使った瑕疵一覧表を当事者に作成させ、争点の整理に努めています。
損害
様々な過程を経て瑕疵と認定された場合、その損害額を主張立証するという最後の山が残っています。見積書の金額を参考にすることも可能ですが、最終的には裁判所が正式鑑定を行い、損害額の査定を行うのが通常です。このような鑑定費用については、最終的に勝訴判決が出れば回収することが可能となりますが、一度はこちら側で立替納付しなければならないため、かなりの負担となるのが実際のところです。そのため、裁判手続にオブザーバーとして一級建築士を関与させ、その参考意見として、損害額の概算を出してもらうという運用もなされています。